哀愁のＤＯＳマシン １月27日
私が初めてパソコンを買ったパソコンは、EPSON製だった。NEC9800とほぼ同じ仕様のマシンだ。1988年頃だったと思う。最初そのマシンは会社に置かれて、私専用のパソコンとして使われていたのだが、川越に引っ越したときに、一緒に持っていった。
内蔵ハードディスクはない。今のパソコンではオプションになっているフロッピーディスクドライブが２つ（しかも５インチ）ついていた。たしか50MB(ギガバイトではない）の外付けハードディスクを５、６万円で買ったと思う。
1993年、windows3.1マシンが発売された。windowsを使う気は全くなかったが、その年の暮れ、近くのショップで購入。その後、200MBの外付けハードディスクを買って接続し、以来、昨年の３月までこれを使い倒していた。基本ＯＳはＤＯＳVer５、ワープロソフトは「一太郎Ver５」である。
私はこのマシンのwindows3.1を消去して、完全なDOSマシンとして使ってきた。インターネットの時代になっても、私のプロバイダーはNiftyだからパソコン通信サービスを行なっている。だから私のメールはすべてパソコン通信で送受信していた。
▲これが15年近く働いているDOSマシン
▲キーボードには9801の文字が
さすがに添付ファイルなどが送られてくるようになると、これだけでは対処できないので、1998年にwindows98マシンを買ったが、原稿執筆や原稿編集は、すべてDOSマシンだった。
もともと私の仕事は「文字」を扱う仕事だ。画像を扱うことはまずない。だからそれで充分だったのである。しかし昨年の３月月末日で、Niftyのパソコン通信サービスが終了した。DOSマシンではメールの送受信ができなくなったのだ。
そのため、４月からはwindowsXPマシンのメールソフトを使ってやり取りをしている。そうなると、メールもXPマシンで書く。――DOSマシンを使うのは原稿編集と執筆のときだけになってしまった。
＊
このままDOSマシンで仕事をするつもりだったのだが、夏頃からモニターの調子がおかしくなった。色がヘンなのだ。これは、持ってもあと１、２年と判断し、秋頃からはXPマシンの「一太郎2005」で仕事をしている。
＊
DOSマシンの中には、過去10年ほどのさまざまなデータが入っている。大半は１年ごと、原稿ごとにフロッピーディスクにコピーされているが、それでもDOSマシンの中にしかないデータもある。いずれこのマシンを捨てるとしても、データをどう吸い出すかが問題になった。フロッピーディスクは容量が1.44MBである。たとえば2006年に送信したメールは３MBほどある。これらをいちいちフロッピーディスクにコピーすることは、考えただけで気が遠くなる。
かといってDOSマシンにはCD-Rドライブなどはない。ましてやUSBコネクタなどもない。接続できるのはＳＣＳＩ機器だけなのだ。
そこで、windows98マシンに接続していたMOディスクドライブを使うことにした。こいつはＳＣＳＩ接続できる。いま外付けで接続しているハードディスクに“連結”すれば簡単だ。
ところが――。
いざ接続しようとしたら、ピンの形状が違う。片方はハイピッチ50ピン、片方はハーフピッチ50ピン……。もはやこれまでと思ったが、ケーブルを持ってビックカメラパソコン館に行ったら、ちゃんと両方をつなぐケーブルがあった！
＊
そんなわけでＭＯディスクにデータをコピーした。全部足しても50MBほどだが、ファイル数は１万以上ある。ただ、XPマシンにはＳＣＳＩ機器を接続できないから、このＭＯのデータを読むことができない。そこで、知り合いのオペレーターさんに頼み、ＭＯのデータをCD-Rにコピーしてもらった。これでXPマシンで読むことができる。
近いうちにXP用に、外付けハードディスクを買ってこよう。それと、もう一台XPマシンがほしいな……。
たとえば環境DVDなどを一方で映し出し、もう一方で仕事をする。そんなのもいいかな、と思う。
＊
しかしDOSマシン、どうするかな……。場所さえあれば神棚に飾っておくように、置いておきたいんだけど。
旧ユーゴスラビアのこと １月25日
私のパソコンの「辞書」は、ATOK2005である。ユーゴスラビアと入力すると、＜地名変更「セルビア・モンテネグロ」＞と出てくる。
私がユーゴスラビアに興味を持つようになったのは、木村元彦氏の『誇り』(集英社文庫）を読んでからだった。この本は、ユーゴ出身（正確にはセルビア出身）のサッカー選手・ストイコビッチの半生を描いたノンフィクションである。
バルカン半島にある（あった）ユーゴスラビア共和国は、７つの国境、６つの共和国、５つの民族、４つの言語、３つの宗教、２つの文字を持つ国だった。「モザイク国家」と呼ばれたゆえんである。この複雑な状況をチトー大統領が独自の社会主義国家として統治してきた。
この国が、東西冷戦崩壊後、バラバラに解体してしまった。スロベニア、クロアチア、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ(オリンピックが開かれた都市・サラエボのある国だ）、マケドニア……。そして、ユーゴ解体のときに最も「悪者」にされたのがセルビア人である。コソボでの民衆弾圧などを理由に、アメリカを主導とするNATO軍がセルビアを空爆し、ますますこの地域は泥沼に陥っていった。
昨日まで友人だった者同士が、セルビア人とクロアチア人と言うだけで殺し合う。殺されたら殺し返す。すさまじい憎悪の連鎖があり、廃墟と空しさだけが残っている。
木村氏の第二作が『悪者参上』(集英社文庫）である。私はこの本を何度も読み返した。何度も何度も……。とくに最後の100ページほどは、「世界の悪者」にされたセルビアへの熱い思いが、ガンガン伝わってくる。
あつてあれほど美しかったユーゴスラビアサッカーは、もう見られないのか……と木村氏は嘆く。
最後のほうで、著者がデモに巻き込まれるシーンがある。コソボでのアルバニア系住民に対する人道上の罪でミロシェビッチ大統領が逮捕され、西側に引き渡されそうになったとき、「ミロの逮捕には賛成するが、裁くのは自分たちだ。アメリカは、クロアチア、、コソボ、ボスニアの紛争の責任をすべてミロシェビッチに負わせようとしている。つまりすべての責任をセルビアのせいにするつもりだ」と人々は立ち上がった。
「ミ・ニスモ・ツルビ(俺たちは虫けらじゃない）」――と。
そのデモに木村氏が遭遇する。殺気だった民衆は、セルビア人以外の外国人プレスを、「お前等のせいでこうなったんだ」と追い回す。木村氏が逃げ出そうとしたとき、一人の男が、
「安心しろ、お前は日本人だ。お前は仲間だ」
と言う。木村氏はふりしぼるように、こう書き綴る。
胸がきゅうと鳴った。
味方なんかじゃない。あんたたちが思っているような国じゃない。
アメリカの戦争に協力する法案を国会で通し、ユーゴ空爆に理解を示した国なんだ、わが日本は！
そこで俺は偏向報道ひとつ止められず、原稿を書き散らかし、カネを稼いでいる物書きだ……。
膝が折れ、涙がこぼれそうになった。
それでも、俺の今できることをやってやろう。私は立ち上がり、男と腕を組んで前に進んだ。
――読んでいて、こちらまで涙が出そうになった。
＊
現、日本サッカー監督のイビツァ・オシムは、セルビア人である。木村氏の『オシムの言葉』は、彼のユーゴ三部作の最後だとも言える。
しかし、氏の著作で最も素晴らしいのは、『終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ』（集英社新書）である。
＊
もし日本が、九州、四国、中国、関西、中部、関東、東北、北海道、ともともと別の国だったとしよう。それぞれ異なった宗教と言語があり、自らの民族を誇りに思っている。これがある日、まったく別の国家だとされる。東京にいる関西人は難民となり、大阪に逃げ出す。あるいは、狭い自治区をつくって身を潜める……。
今のバルカンは、そういう状況だ。
もう一度、『終わらぬ「民族浄化」セルビア・モンテネグロ』を読んでみようと思っている。
「絶対的な悪者は生まれない。絶対的な悪者はつくられるのだ」
『悪者参上』を貫いているのは、木村氏のこの、悲痛なまでのメッセージである。
さだまさしコンサートに…… １月19日
大宮ソニックシティホールで開かれた、さだまさしのコンサートに行ってきた。家からだと40分で行けることもあり、去年の暮れにチケットを買っておいたものだ。
話には聞いていたが、よく喋る。そしてその「喋り」が面白いし、ほろっとさせたりもする。不覚にも泣いてしまったことも何度かあった。
去年出したアルバム「美しき日本の面影」を中心に構成されていた。テーマは「友だち」だったようで、トークのネタも、ほとんど友人の話だった。
＊
最近さだまさしは、アルバムに１曲、必ず反戦メッセージをこめた曲を含める。「本気で言いたいことがある」という著書でも、明確に平和と反戦を訴えている。
今日の最後の曲は、一昨昨年の紅白で脳天を割られたように感動した「遙かなるクリスマス」だった。アルバム「恋文」に入っている。
アルバムではかなり早い段階からオーケストラのバックが入るのだが、この日はステージだから最後のクライマックスの数コーラスまで生ギター一本の弾き語り。総毛立つような感動だった。
メリークリスマス
僕達のための平和と世の中の平和が少しずつずれ始めている。
メリークリスマス
誰もが正義を口
にするけど二束三文の正義十把一絡げの幸せ、つまり嘘。
…………
メリークリスマス
独裁者が倒されたというのに民衆が殺し合う平和とは一体何だろう。
メリークリスマス
人々はもう気づいている 裸の王様に大人達は本当が言えない。
メリークリスマス
いつの間にか大人達と子供達は平和な戦場で殺し合うようになってしまった。
メリークリスマス
もっとも僕らはやがて自分の子供を戦場に送る契約をしたのだから同じこと。
メリークリスマス
子供の瞳は大人の胸の底を探りながらじわりじわりと壊れていく。
………………
明らかに、イラクに侵攻したアメリカと、それに追随した小泉政権を批判した楽曲だ。しかし――。
世の中はどんどんきな臭くなっていく。自民党は「改正憲法」の草案を発表した。
＊
日本には「憲法９条」がある。
１
日本国民は正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、微力による威嚇または武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。
２
前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。
国の交戦権は、これを認めない。
−−−−−−−−−−−−
本来この９条にのっとるなら、イラク派兵などできるはずがなかった。それを特別措置法などをつくって、強引に派兵させたのだ。コイズミは「国際平和」のためだと言ったが、要はアメリカの「手下」になっただけではないか。
アメリカが、世界中に戦争をばらまいている。旧ユーゴも、NATO軍の爆撃を受けた。世界中に国粋主義、民族主義、愛国心が跋扈し、もはや収集がつかない状況だ。
そんな中で出された自民党の憲法改正草案では、「９条の１」こそそのままだが、あの単純明快だった「９条の２」が、こうなっている。
２−１
我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高識者とする自衛軍を保持する。
２−３
自衛軍は、第一項の規定による任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために、国際的に強調して行なわれる活動及び緊急事態における公の秩序を維持し、又は国民の生命もしくは自由を守るための活動を行なうことができる。
−−−−−−−−−−−−−
寒気がする。
「国民の生命もしくは自由を守るための活動」とは何か？
兵器を持てば敵が恐れて攻めてこない――というのは幻想に過ぎない。そんなことは過去の歴史が証明しているではないか。
９条は、いわば「反戦の条項」である。これを世界的にアピールすることは、戦争によって国際紛争を解決するのは泥沼にはまりこむだけだと言うことでもある。これに同意する国が出てこない限り、いまの世界を変える手だてはない――そんなことを吉本隆明が言っていたと記憶している。
その通りだと思う。
＊
コンサートの帰り道、「命」とか「平和」について強く考えさせられた。
ノートン・インターネット・セキュリティに苦しむ １月10日
ノートン・セキュリティは、ＤＯＳの時代から使ってきた。当時はインターネットのウィルス対策のものではなく、誤って削除したファイルの復元や、ファイル状態をチェックするものだった。
その後、インターネットの時代になり、いわゆる「ウィルスソフト」として「インターネット・セキュリティ」ができたわけだ。
しかし、このソフトにも別れを告げることになった。
５日、奇跡的につながったサポートセンター（中国の大連にあり、オペレーターは日本語の上手な中国人）の指示に従って、まずシマンテックのサイトから「リムーバブル・ツール」という削除ソフトをダウンロード。それでいったん、「Norton」関連のファイルをすべて削除。改めて、インターネット・セキュリティ２００７をインストールした。しかしそれでも、つながらない。そのうち、プロテクトが「エラー」になり、ソフトがまったく機能しなくなる。
これではウイルスソフトの意味がない。
もう一度サポートに電話すると、msconfig をいじらされた。こんなとこ、そもそも変にさわるところではない。ＤＯＳでいうとconfig.sys である。スタートアップのときにどんな常駐ソフトを読み込むかなどを設定する。
ここで、いったん常駐ソフトを外し、ノートン・インターネット・セキュリティだけをスタートアップのときに読み込むようにチェックを入れた。
こうしてインターネットにもアクセスできるようになり、メールも送受信できるようになって、めでたしめでたしと思っていた。ところが夜になってパソコンを起動してみたら、「アクティブ化が必要です」のメッセージ。そりゃそうだよな……と「次へ」をクリックしていくと、「アクティブ化に失敗しました。アンインストールして、再セットアップしてください……」といったメッセージが。
言われるままにやったら、再びエラー。何度この作業を繰り返したか……。いい加減あきらめて、サポートセンターが開く９日まで待つことにする。
＊
テレビでも見るか……とボタンを押すと（テレビ付きパソコンである）、ウンともスンとも言わない。「な……なぜだ……」音量を操作すると画面の下方に棒が出るのだが、それも出ない。
スタートアップメニューから、これらの機能を外してしまったままだったのだ。
で、再びmsconfigに行き、スタートアップメニューの状態を、元に戻し、テレビは見られるようになったが、ノートンは相変わらず。連休中にやった仕事を届けるなどいろいろな用事があり、９日はほぼ１日外出。
そして１０日、気合いを入れて午後イチからサポートセンターに電話をする。１回目のサポートで、いろいろやったが、やっぱりダメ。仕方なく自分で、「システムの復元」をやってみた。つまり、エラーが起こるようになる前の１月１日のパソコンの状態に戻すのである。なぜこんなことを知っているかというと、去年パソコンがおかしくなったとき、NECのサポートセンターにさんざんこれをやらされたからである。
ただし、１月１日以降にインストールされたソフトは消える。当然、２００７も消えるわけで、ここで再度セットアップを試みたが、やっぱり同じエラーが出る。
＊
仕方なく２度目の電話。オペレーターは、５日に最初に出た「陳さん」だった。80人いるというオペレーターの中で、同じ人に当たったわけで、ここぞとばかり症状を説明した。これまでの電話の履歴が全部残っていて、「陳さん」はていねいに対応してくれた。普通は、たとえばモロモロの作業を終えて、
「あとは再起動すると、＊＊の画面が出ますので、次へをクリックすれば終了です」
という感じで電話は切られるのだが、
「最後までサポートさせていただきます」
と３０分ほど付き合ってくれた。
しかし結局ダメで、陳さんも諦めたのか、
「申し訳ありません。お客様のパソコンと当社のソフトの相性がどうしても合わないようですので、返品していただいて結構です」
ということになった。
＊
「返品」といってもダウンロードしたソフトだから、今度はシマンテックストアに電話して手続きをしなければならない。……いや、そんなことより、この状態ではパソコンは無防備状態だ。何かセキュリティソフトを入れなければならない。
考えた結果、windows98マシンを使っていたときに使っていた「ウイルスバスター」の有効期限がまだあることに気づき、製造元のトレンドマイクロに電話。事情を話すと、２月２８日まではこれまでwindows98マシンで使っていたウイルスバスター２００４が使えるという。しかも現在、ウイルスバスター２００７に無料バージョンアップ中だという。迷うことなく申し込み、指示に従ってダウンロードしてインストールしたら、インターネットもメールもできる上、ウイルスバスターも正常に機能している。
時間は５時になりかけていた……。
＊
ぐったり疲れ、本来は休肝日なのだが、今日は飲ませてくれと妻に頼み込み、ほっと一息ついて、さっき、ウイルスとスパイウェアをチェックするため、スキャンをかけた。
大丈夫。感染してない。
＊
いろいろ書きたいことはあるが、それは後日。今年は懐かしい人から年賀状や年賀メールをもらった。「旅日記」の「見えすぎた摩周湖」に登場する私の“恋敵？”のＳくんからもメールがあり、“あの頃”のことが書かれてあった。
これまでずっとメールのやり取りはあったのだが、あのことにはお互い触れなかった。何度もメールを読み返した。
「見えすぎた摩周湖」に出てくる「横浜の男」です……と。そして、私やＫ子さんへの謝罪の文章が書かれてあった。といっても、彼が何をしたわけでもなく、要するに曖昧た態度をとっていたため、Ｋ子さんや片山さんを傷つけたのではないか……というものだ。
私は、そんなことはない、みんな３人とも曖昧で、傷つけまいとしたため、それぞれがそれぞれをちょっとずつ傷つけただけで、誰のせいでもない……というような返事を書いた。
たぶん、みんな優しすぎたのだと思う。厳しい言い方をすれば、自分が可愛かっただけなのかもしれないが、それでも３人それぞれが他の２人のことを気遣った。
＊
私は当時、付き合いは短かったけれども、Ｓくんのことを友人だと思っていた。その気持ちは今でも変わらない。
３人が摩周湖で出会ったのは、考えてみれば20年も前だ。1985年ゴールデンウィークだった。HONDAのＬＡカスタム250ＣＣという、当時はあまりはやってなかったアメリカンバイクで行った私に対し、Ｓくんのバイクはカワサキの伝説の名車ゼッツー（カワサキ:Ｚ２）である。バイク乗りなら「へへー！」と土下座するような750CCの名車だ。Ｋ子さんもHONDAのCBR400FOREに乗り、しかも全身で黒ツナギで決めてきた。
ちなみにゼッツーは、現在も中古市場では、１００万円近くする。私のバイクもけっこう年代物になり、それなりの値段はつくだろうが、せいぜい数万円……かな。
この時点で私の「負け」は決まっていたのかもしれないなあ。^^)
Ｓくんは、アメリカにもこのゼッツーを持っていった。今でも乗っているのだろうか。……たぶん乗っていると思う。私もあのアメリカンに、まだ乗っている。走る回数は少なくなり、ツーリングに行くこともめったにないのだから処分すればいいようなものだが、捨てきれないでいる。
それは、このバイクからは、「あの頃」という名のエンジン音が聞こえるからなのかもしれない。
混迷の時代に「謹賀新年」 １月3日
あけましておめでとうございます。
新年に、「インターネット・セキュリティ」をバージョンアップしてダウンロードし、インストールしたら、ブラウザもメールソフトもHPの転送もできなくなった。仕方なく、旧バージョン(Internet Security2005）を再インストールして、何とか騙し騙し使っている。おかげで丸２日、ネット作業ができなかった。
2005も、しょっちゅうエラーメッセージが出て再インストールするように警告が出る。かといって2007をちゃんと使うには、サポートセンターに電話して聞かなければならない。５日かららしいが、おそらくつながらないだろうから、当面はこれで行くつもりだ。
＊
ウチには、このXPマシンと、windows98マシンと、DOSマシンの３台のパソコンがある。DOSマシンは、パソコン通信が終了してからほとんど使わなくなった。98マシンは、動作が不安定で、１年ほど使っていない。そこで昨日、98マシンを部屋から出した。古いノートパソコンも合わせて、処分するつもりだ。もちろんデータは完全に消去した上、カナヅチでディスクを壊した。
もともと私は、仕事にワープロソフトの「一太郎」を使っている。基本的に「文字」を扱う仕事だから、「一太郎」がwindows98版、XP版とバージョンアップしていっても、頑なにDOSマシンの「一太郎ver5」を使い続けていた。もう10年近く使っているので辞書は完全にカスタマイズされ、ショートカットキーで移動や削除、コピーなどもラクラク……だったのだが、去年の３月末でパソコン通信が終わると、メールのやり取りはXPマシンでやるしかなくなった。
それまではメールはDOSマシンのパソコン通信で、送受信していた。もちろんパソコン通信だと添付ファイルは読めないので、もう一度、XPマシンで受信して……ということをやっていたのだ。
ともあれ、メールのやり取りをXPマシンでやるようになるt、DOSマシンを使うのは「一太郎５」を使うときだけ、ということになる。いずれなくなるDOSマシンだからと、去年の秋頃から、windows版一太郎（ver2005）を使って原稿をいじるようにしている。
まだ慣れないが、だいぶDOSマシンの頃に近くなってきた。
となると、DOSマシンも必要なくなる。いっそ処分しようかとも思うが、ハードディスクには過去10年分のメールが……。原稿データも入っているが、こちらはすでに、フロッピーディスクなどに保存してある。
ただ、問題は10年分のメールをどうやって取り出すか――だ。DOSマシンにはフロッピーディスクドライブとCD-ROMドライブしかついてない。いちいちフロッピーディスクにコピーするのも面倒だ。
そこで、windows98マシンにつないであったＭＯドライブを接続して、ＭＯディスクにコピーすることを考えた。これならＭＯディスク１枚で足りる。
ＳＣＳＩ接続だから大丈夫と思っていたのだが、なんと、ピン数が違う。ＳＣＳＩにも２種類あるらしく、DOSマシンのＳＣＳＩとwindows98マシンに接続していたＳＣＳＩは規格が違うのである。
変換アダプタが、どうやらあるようだ。それさえあれば、DOSマシンもなくなり、部屋が急に広くなるだろう。一抹の淋しさもあるが、これはこれで仕方がないかもしれない。
＊
しかし、ここまで頑張ったDOSマシン、捨てるのはしのびないなあ。
＊
年末にフセインが処刑された。しかしイラクは相変わらず内戦状態だ。良くも悪くも、独裁者フセインが、複雑な宗教対立を押さえていたから、イラクには自由はなくとも平安はあった。
独裁者が倒されたというのに、
民衆が殺し合う平和とはいったい何だろう。
これは、さだまさしの「遙かなるクリスマス」の一節だ。
＊
処刑したのは、確かにイラク人だったが、処刑台を用意したのはアメリカの傲慢な武力だった。まるで中世のように、それまでの「王」が、あっさりと殺される。法治国家では、あの麻原彰晃に死刑判決を出すのに10年もかかっている。これも、良い悪いはともかく、一人の人間を死刑にするのは、それだけ充分な審理があってしかるべきだと言えなくもないのだ。
独裁が終わったあとには、国民同士で殺し合う状況だけが残った。アメリカは引っかき回すだけ引っかき回して、撤兵するだろう。日本はと言えば、平和憲法を変える動きが強くなっている。
＊
北朝鮮は日本の目の前で核開発を続ける。拉致問題はいっこうに進展しない。何もかもが混迷のままなのに、世界も日本も、お気楽に「いくさ」へと突き進んでいるような気がしてならない。
▲ベランダから見た初日の出
