この海はおまえの海ではない
不意に
乾ききった風が押し寄せる
知らぬ間に
歯ぎしりと波長が合っている
螺子がゆるむように
海霧の中に閉じこめられた私の身勝手が溶解して
前向きの生き方がふらふらと崩れていく
潮のように同じ間違いを繰り返し
立ち止まる私は涙の中まで嘘つきだ
軽々しく人生を語れるようになって数年が過ぎた
臆面もない口調が板について
目尻に皺が数本刻まれた
静謐な時間の軋みが聞こえるのは
同じだけの時間が逝ってからだ
紅く小刻みに振動する水平線を抱擁し
ああゆっくりと魂がこむらがえり
錨のように沈んでいく
海へ 海へ 海へ 海へ
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