水が揺れ始め
光の繊維が空から降ってくる
こんなとき答を出そうとすると
決まって
これまで重ねてきた嘘が片目をつぶる
裏側から見た思い出はあの頃よりもずっと白い
たぶんあのあたりを徘徊している言い訳は
まだ歴史に記録されないままだ
このままずっと誤植を発見できず
何年かが過ぎていくのだろうか
目の前の海が凪いで
鳥が記憶をついばんでゆく
前向きと後悔の接点は
生き物のように動いたり止まったりしている
たのむからしばらく動かないでくれ
だから僕がここにいる
身をよじると潮流の回転軸が
ぷるん
と震えて
僕が景色に媚びを売る
やがてきっちりと
受話器の向こうで十円玉が落ちるように
かちん
と日が沈むだろう
後ろから君の声がする
古ぼけた夢 ひとりごと
言葉をいくら重ねても
むなしさと同じ重さにしかならない
ズレたトレーシングペーパーを合わせるように
昔のことを繕うふりをする
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